4.「決断の時」  

販売管理システム

ここまでの状況をもう一度振り返ってみますが、現状では残った二つの案で検討を行っている段階です。

第1案 

システム開発業者に依頼し、独自の販売管理システム開発を依頼する

見積は用意されており、補助金の申請も通過していますので、開発を依頼するシステムについて、当社の業務内容についての詳細打合せを始めている。

3

データベース作成ソフト FileMakerを使用して、自身で作成・サーバーも自社で調達

個人的には魅力のある案ではありましたが、技術的・時間的な問題が多すぎて、実現可能かの検証がまったく未知である。

補助金の申請金額は第一案の見積ですでに通過している為、システム開発業者との打ち合わせが始まっており、見積作成までの大まかな業務の説明から、詳細な業務内容の説明に入り実際のシステム開発を発注する前段階として、もうすこし詳細に業務内容の説明を行っている段階なのですが、この時点ですでに 何とも言えない精神的疲労感 が打合せに参加している経営者と私に降りかかってきました。

当然ながら、「業務を知らないシステム開発者と、システム開発を知らない依頼者」の意思疎通の難しさからくるものである事に間違いありません。

このままシステム開発の発注をしても、相手はシステム開発の専門家ですから、一般的に見ても費用に見合ったものは納入してくれると思いますが、それが本当に私たちにとって費用に見合った、使いやすいものになるのだろうかといった不安が付きまとうのです。

また、打合せを行っていて感じたのは、打合せする当人の手順に関しては詳しく説明できたとしても、自分の担当以外の業務については説明が足りなかったり、または全く説明ができていなかったりするので、顧客毎に異なる業務手順には全く対応できないシステムになってしまうのではないかといった不安が大きくなってきました。

これらもすべて補助金を申請・実行するまでに必要な私たちが行う準備が不足している事が要因だと深く感じましたが、たとえ十分に準備と説明を行ってきたとしても、人に依頼するからには、100%満足できる物を期待するほうが間違っているとも思います。 

大抵の事柄は、当事者でも80%程度の理解度だと思っていますし、それを人に伝える時点で半分の4.50%程度になると思います。 それを実行して貰うのですから、完璧なものを望まず、不足した分をどう対処するかを考えるべきなのでしょう。

しかしながら、補助金を利用するとしても費用の負担は発生しますし決して軽い負担ではありません。 開発を依頼した結果出来上がったシステムに、自社の業務を行う上での機能が不足していた場合は、追加費用を払って開発を再度依頼するか、エクセル等を使っての業務を併用するしかありません。 そのような結果を想像した時に、やはり当社の販売管理システムは、初めから「大きなもの」つまり完成品が導入されるのは無理があるという結論に達しました。

では、第1案で「大きなもの」の導入をやめた場合、3案で「小さなもの」は作れるのだろうか。 この時点では、確実な自信はありませんでしたが、FileMakerのサンプルソフトを使用して検討を行った中で、何とかなるのではないかとは感じていました。

私自身、様々な葛藤を生じながらも手探りで進めてきた「販売管理システムの導入」ですが、最終決定を行う経営者である社長の決断が一番重いものである事に変わりありません。

「重い決断」には、全員を従える決定力という意味と共に、今後の結果に伴う責任を負うという決断に対する重さが伴います。

補助金を利用するには、年内に支払いをする必要があります。 販売管理システムの制作を外部に依頼し、年内にあるていどのシステムが納入され支払いをするためには、もう期限が間近に迫っています。  そして、社長の最終決断は、「第3案 自社で販売管理システムを作成する」でした。

この決定は、期限を目前にした中での私の意向を採用していただけたものであり、その決断を行うまでの葛藤は、いずれ決断を行った本人に外伝として書いて頂きたいものではありますが、自社の今後に大きく影響する決断がされた記念すべき日だと(少し大げさですが)今になって思います。

そして、これからの計画は次のように決定されました

FileMaker を購入し、販売管理システムの構築を行う

■データベースサーバーを構築する

■販売管理システムの利用に全社員が参画する

そして、販売管理システムの構築を私が行い、取り扱い商品のマスタ登録は主に発注・販売を中心に行っている社長が主に行っていくと決まりました。

補助金申請時の申請額は、システム開発を依頼した時にかかる費用で行っていた為、費用面では問題ありませんでした。 逆に大きく費用が下がりますので減額の申請と、購入予定品の正式な見積が必要になります。

FileMakerを使用したシステムの開発に必要な物は、検討段階であるていど決まっていましたが、 唯一「サーバ機」だけは未知のアイテムだった為、概算での金額で勧めており、まだ決まっていませんでした。

サーバーの構築については全くの未経験です。 ネットで色々調べていると、自社にサーバー機を設置して社内ネットワークでサーバーに接続する方法をオンプレミスといい、インターネット上のレンタルできる保管場所を利用して外部に自社のデータベースを置くという、クラウド方式の二通りがあるようでした。 

Amazon のクラウドサービス AWSがFileMakerと相性が良さそう(FileMakerの事を調べていると、どこかに書いてあった程度の知識ですが)で、普通はセキュリティーや、データ保管の安全性からみても、クラウドを利用するのが一般的かとも思うのですが、クラウドの利用料は従量課金式で、のちのち費用が発生していく方式である事と、補助金を利用する事からも、初めに必要な費用と購入する事ができる物は買っておきたいという気持ちから、オンプレミス、自社にサーバーを設置する方法を選びました。

では、見たこともないサーバー機をどうやって選定するのかを色々調べたところ、実際のサーバー機とは、パソコンと同じような物でサーバー化するソフトが入っていれば、それがサーバーになるのだ。 という事がわかりました。

サーバー化するためのソフトはFileMakeに付属していいるので、普通のパソコンを購入したらよいと思います。 ここでの思い切った選択は、MacMiniをサーバー機として購入するという事でした。 

iPhoneやiPadは普段から使用していたのでなじみ深いApple製品ですが、パソコンに関してはWindows一択でした。 個人用としてもMacは使用した事がない私が、なぜサーバー機にMacMiniを選択したのかは、次の理由からになります。

①     コンパクトな筐体である為、場所を取らない

MacMiniはデスクトップ筐体のような大きな外観ではなく置き場所に困らいないうえにアルミボディの放熱性が良く、長時間稼働させるサーバー機としても向いている。

②     FileMakerApple社の子会社が作成している

  当然Macと相性が良いのではないか

        また、MacのOSはサーバーと似た構成で、サーバー化に向いている(とどこかのネットで見た気がする)

③     一度Macを使ってみたかった!  (はい、個人的な理由です。)

未経験の状態から、少しづつ販売管理システムを作っていき、実際に業務に利用しながら育てていく・・・このような状態を想定した時に 高価なサーバー機を購入するのではなく、最悪他の用途にも転用できるかもしれないMacMiniを2台購入すると決めました

1台は販売管理システムの稼働用サーバー機として

もう1台は、開発・テスト用 そして将来はバックアップやセカンドサーバーとして利用するという計画です。

予備のサーバーがあれば、初めて構築するシステムでも、業務用とは別の複製を利用してテストや開発ができるので安全だろうという考えです。

そうしてサーバー機の費用は確定しました。  それ以外の購入予定品であるApplePencil2本・レーザープリンターはFileMakerの検討時に決めていた通りですので、これですべての費用が決定した事になります。 その費用は当初の補助金申請費用の10分の1程度になりました。 外注する費用がなくなったのですから当然なのですが、補助金を利用するといっても、自社の負担分もありますので総額が下がった事は助かります。 販売管理システムの開発を担当する私としても初期費用を抑えられた事はプレッシャーが軽くなるので大いに助かります。  費用の面からも「小さく始める販売管理システム」となりました。

( 困難な道のりはまだまだ )つづく・・・・

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