14.業務マニュアル+アイディア+システム開発

「部品管理台帳」システム制作が順調に進み、部品マスタの登録状況も順調に進展しています。  発注システムも組み込む事ができたので、次は在庫管理システムを部品管理台帳に追加する必要があります。

ここでシステム導入を検討した当初からの問題となっていた、金属加工+アルマイト処理など 二次工程以上が必要な当社の製品をどのようにしてシステム上で在庫管理するのかという問題です。 当初、パッケージ型(完成済み)の販売管理システム購入を検討していた時は、販売業者からは「工程別に別の商品マスタを作成して管理する必要があります。」との回答だったのですが、それでは実際の業務にかなり支障が発生するのがたやすく想像できました。

実際の業務を理解した担当者からの意見を基に新たなアイディアを

システムの制作を行っている私自身が自社の通常業務にも携わっている為、実際の業務内容や社内の管理方法を基にシステム化する為にどのような方法を取るのが最善かはある程度自身で解決可能ですので、最善と思われる方法を検討した結果、次のような方法を取る事にしました。

① 部品マスタは、1部品につき一つ (これは業務の複雑化を防ぐために必須)

最終工程の処理業者からの仕入があった時点で在庫に計上するシステムにする。

当社の製品の特性上、削り出しのアルミ部品が入荷したら 寸法検査を行い、すべて防錆処理(アルマイト)業者に預けます。 つまり、途中の工程の状態で在庫として保有する事態はまず発生しない為、最終工程が完了した時点で完成品として販売できる状態 つまり在庫として計上すれば良いのです。 部品管理台帳に各工程を発注する加工業者を登録しておくのですが、ここの業者からの仕入があった時だけは実在庫に計上するといったシステムを構築するのです。

では、実際にどうやって そのようなシステムを構築するのかというと結構簡単な構造で、在庫に計上したい業者の欄にチェック欄を設けます。 その業者から仕入があった時は、システム内に(仕入業者名+在庫計上) の文字が入ります。   「在庫計上」の文字が入った入荷だけを在庫として加算すればよいという事です。 ほとんど、IFを使用した計算式のみですので、初心者の私でも苦労する事なく構築できました。

実際の業務では、在庫計上を行うはずの業者からでも在庫に計上したくない場合も発生(その逆も)します。 そういった場合は、仕入業者名の後にある「在庫計上」の文字を消したり足したりするだけで在庫に計上しない(する)を変更する事ができ、実際の様々な状況に対応可能です。

部品管理台帳の入荷履歴リストには仕入の履歴が残りますので、在庫に計上された仕入のみ黄色く強調されるようにしておきました。 これで、入出荷や在庫計上に関する問題が解決です。 あとは出荷の登録機能やマスタ作成時にすでに存在する初期在庫の登録欄、仕入単価の登録など 各機能を設けて無事在庫管理システムが「部品管理台帳」内に実装されました。

当社の場合は実際の業務の経験者(実施者)とシステム化へのルール決定者とシステムの開発者が同一なのでスムーズに進みますが、自社の独特な業務やルールを外注するシステムに反映させるとなると実際はかなりの時間を要します。 説明や理解が不足していると、出来上がったシステムの修正や追加が必要になり費用もより多く発生してしまいます。 かと言って、実際は各現場から意見を聞きながら進めていくと各自の意見や要望がまとまらず、システム開発が大きく遅延します。 その為、業務を十分に理解したリーダーがシステムの開発時に要望を伝えていくのが良いと思います。

在庫管理によってシステムの価値が上昇

販売管理システムに必須といえる在庫管理システムが実装された事によって、自社の販売管理システムの業務への充実度が一気に増しました。 今までは受注の度に実在庫を確認しなければ発注・販売が行えなかったのが、事務所のパソコンだけで解決するのです。  ここまででも当社にとっては劇的な変化でもあるのですが、やはりすべての部品の在庫が正確にシステムに登録されている事が必須条件となります。  不良品による在庫の増減や実在庫との差異を確実にシステムに入力していないと、計算在庫と実在庫が異なってしまい、販売時に実は在庫がなかったなんて事になりかねません。 ここでの一番の解決方法は、社員全員への在庫管理・システム反映の重要性を十分に理解してもらう事と共に、システム上で在庫が把握できる事が、自身の業務にどれだけ利点となるのかを理解してもらう事が必要です。

タブレットや配置したパソコンを活用する

計算在庫の把握や、差異との照合・不具合時の調整を各自が使用するタブレット「iPad」で容易に行え履歴が残るようにしておく事。 また、検品・入庫などを行う箇所にもパソコンを一台設置し、在庫の使用や差異をシステムに反映させる業務を後回しにせず、リアルタイムに実施する事によって、計算在庫がかなり正確になってきました。 半年に1回行っていた「棚卸業務」を数回行ううちに、計算在庫と実在庫の整合性がかなり正確になっている事を経営者も実感できるようになり、実在庫を数える作業も決算時の年一回でよいとの認識になっていきました。

実際の業務を行っている社員にとっても全ての部品の棚卸業務は大きな負担であり、それが年一回になり、やがてその年一回の棚卸も 各在庫の計算在庫と照合するだけになり、さらには在庫のロケーション事にリストが印刷されるようになったりと、棚卸の度にシステムの利点を実感できるようになるのです。

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