Vol.15 ~DXのその先へ。脱・Excel管理と「資産」としてのデータベース~

1. システムに「完成」はない:アジャイルな運用とQOLの向上

足掛け数年にわたるプロジェクトを経て、当社の販売管理システムは無事に本稼働を迎えました。 しかし、「完成」ではありません。日々の業務の中で生まれる新たな要望や、変化する市場環境に合わせて、今も機能の修正・追加(アップデート)を続けています。 これこそが、「小さく作って大きく育てる」というコンセプトの真価であり、システムが生き物のように成長し続けている証です。

導入の成果は数字にも表れていますが、何より実感するのは**「QOL(Quality of Life)の向上」**です。 業務の「見える化」が進み、無駄な確認作業や手戻りが激減したことで、労働時間が短縮され、精神的な余裕が生まれました。IT化の目的は、効率化の先にある「働く人の幸せ」にあったのだと再認識しています。

2. 「DX」というバズワードと、中小企業の現実

世間では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が飛び交っていますが、多くの現場では未だ「IT化(デジタイゼーション)」すら完了していないのが実情ではないでしょうか。

単に紙をPDFにする、ハンコを電子印鑑にする……それはDXの入り口に過ぎません。 業務プロセスそのものをデジタル前提で再構築し、データを武器に変革を起こす。私たちがFileMakerで実現したのは、まさにこの変革でした。

3. 「Excel・Word」の限界と「データのサイロ化」

誤解を恐れずに言えば、多くの企業を停滞させている原因の一つは、**「Excel・Wordへの過度な依存」**にあると考えます。 これらは個人の作業ツール(パーソナル・プロダクティビティ・ツール)としては優秀ですが、組織のデータを管理するプラットフォームではありません。

  • 情報の断絶(サイロ化): 担当者AさんのPCにある見積書は、Bさんからは見えない。
  • ノンコア業務の肥大化: 「報告書」や「管理表」のフォーマットを作ることが仕事になり、中身(データ)が活用されない。
  • 死蔵されるデータ: 事故報告書やヒヤリハット報告書を作っても、上司がハンコを押してファイルサーバーの奥底に眠るだけで、再発防止のナレッジとして活かされない。

「書式を埋めて提出すること」が目的化した業務は、時間と労力の浪費でしかありません。

4. データベースは「記録」を「資産」に変える

データベース(FileMaker)の最大の強みは、あらゆる情報が**「リレーション(関連付け)」**によって有機的に繋がることです。

  • 見積の資産化: 過去の全ての見積履歴が製品情報に紐づくため、「あの時いくらで出したっけ?」が一瞬で判明し、適正価格の算出根拠となる。
  • 失敗の資産化: 不具合報告やクレーム情報が製品マスタに連動するため、次回同じ製品を作る際に「過去の注意点」としてアラートが表示され、ミスを未然に防げる。

Excelでは「過去のファイル」として埋もれていく情報が、データベースでは**「未来の業務を助けるナレッジ(資産)」**として蓄積され続けます。これこそが、企業が目指すべき真のIT活用です。

5. 結び:紙からExcel、そしてデータベースへ

かつて、業務の主役が「手書きの帳簿」から「Excel・Word」へ移り変わったように、これからは**「データベースと連動した業務アプリケーション」**へとシフトしていくべきです。

プログラミング未経験の私でも、FileMakerという強力なツールと、業務を変えたいという熱意、そして経営層の理解があれば、ここまで辿り着くことができました。 「小さく始める」勇気が、やがて会社の未来を大きく変える。 この記録が、これからDXに挑む中小企業の皆様にとって、ささやかな道しるべとなれば幸いです。

【編集協力】 このプロジェクト記録の文章表現は、Gemini(Google AI)による構成案の作成および校正支援を受けています。

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